先日組合は大学院改組に関連して以下の公開質問状を学長宛に出しました。
大学院改組および新機構設置に伴う労働条件の確保に関する公開質問状
2026年5月25日
東京外国語大学長 春名展生 殿
東京外国語大学教職員組合 執行委員会
現在、大学執行部が進めている大学院改組および5年一貫制導入の構想について、5月27日に行われるWGでの議論・提言を踏まえたうえでもなお、グローバル・イノベーション・デザイン・インスティテュート(GIDI)ならびに今後の制度設計において、教職員の業務負担増大と、それに伴う労働環境の悪化が強く懸念されます。
また、本計画が将来的な「学部定員1割削減」を含む全学的再編に関わるものであるにもかかわらず、現時点において、現場への具体的な情報開示および合意形成は極めて不十分です。教職員の心身の健康および教育研究環境を守る立場から、以下について回答を求めます。
【背景と理由】
1. 現場教員の強い懸念
2026年度から稼働している「全学改組を担う」とされるGIDIについては、24名配置のうち22名を既存教員が担うことが、文部科学省提出資料に記載されています。
3月に組合が組合員を対象に実施したアンケートでは、一連の大学改革について、その前提や必要性が十分共有されていないとの意見が多数寄せられました。
さらに、5月初旬に大学院改組ワーキンググループが実施したアンケートにおいても、実務家養成専攻の設置や5年一貫制導入について、反対意見が賛成意見を2~4倍以上上回る結果が示されています。
2. エフォート配分と業務量の不透明性
少なからぬ教員から、GIDI関連事業における具体的な人員配置や、業務エフォートがどのように変化するのかについて、不安の声が寄せられています。教員の長時間労働が常態化すれば、教育・研究の質の低下を招くことが懸念されます。
【質問と要求事項】
組合は、労働条件の不利益変更を防ぐ観点から、以下の2点を求めます。
1. 労働環境保護の方策について
今後、文部科学省への申請・ヒアリング等のプロセスを進める場合、新専攻およびGIDIに関する「教職員の具体的配置計画」ならびに「個々の業務量(エフォート)の増減試算」を策定していくにあたり、現場への過度な負担増加(労働条件の不利益変更)を防ぐため、大学執行部としてどのような基準や安全担保(人員増の検討を含む)をもって制度設計を進める方針であるのか、現時点での基本的な考え方をご説明ください。
2. 協議の継続
労働条件(エフォートや業務量)に関わる不利益を伴う変更が存在しないと確認できるまで、組合に対する誠実なデータ開示および協議を継続していく意思が大学執行部にあるか、現時点での見解をお聞かせください。
本申し入れ事項および質問に対する回答を、2026年6月3日正午までに文書にて求めます。
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公開質問状の背景――改組計画をめぐるこれまでの経緯と検証※5/29修正
①大学執行部・改組WGの動き
②教職員組合・現場の対応
2024年9-10月:学長選挙
①現学長が「業務軽減・研究時間の創出」を公約に掲げて当選。
②組合主催「候補者と語る会」開催。この時点で5年一貫制構想への懸念を失敗例とともに提示。
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2025年5-6月:授業時間問題
①執行部側が「授業時間の105分化」の導入を模索。
②組合が1400通以上のアンケートを集計し、現場の強い反対の民意を可視化。執行部に105分化を断念させる。
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2025年6月:予算措置
①グローバル・デザイン・イノベーション機構ヒアリング通過。「組織改革分」として6,070万円の予算措置。
2025年7月7日:学長あいさつ掲載
①HPに大学院改組を前面に押し出した学長あいさつを掲載。しかし、その後対外的なインタビュー対応ばかりが先行し、内部向けの説明は限定的なものにとどまる。
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2025年10月8日:教授会
①教授会にて、大学院改組について初めて公式に言及。
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2025年11月:ワーキンググループ(WG)発足
①改革WGが発足。しかし、現場が求めた全学アンケートの実施要求は先延ばしにされる。
2026年3月:組合主催アンケート
②執行部側の不透明なプロセスに対抗し、組合主催による初の「大学院改組アンケート」を独自に実施。
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2026年4月22日:第1回説明会(※学長は不在)
①当局による第1回説明会が開催されるが、学長本人は出席せず。WG長から「5月中に学長による説明会を開催する」との旨が明言される。
②「組合ニュース」にて、3月のアンケート結果(改組への強い懸念)を全学に公表。
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2026年5月13日:WG主催アンケート結果発表
②【圧倒的な反対の民意が可視化】教員の回答率は約54%。結果は「実務家養成専攻の新設案」に対し、
反対46.9% (賛成12.5%)
「5年一貫制の導入」に対し、
反対40.6%(賛成20.8%)
と、現場の強い拒絶反応がデータとして証明される。
2026年5月14日:組合ニュース紙上で大学院改組の問題点を指摘
②大学院改組に関し、実施の是非を判断するうえで必須・必要となるデータの欠如・不足・未提示という問題点が存在することを組合ニュースにて指摘。
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2026年5月25-26日:公開質問状の提出
②アンケートに示された民意を受け、組合から学長宛に公式の「公開質問状」を提出・組合員ML配信(回答期限:6月3日)。
2026年5月27日:WG討論会(※学長は再度不在)
①WG主催の討論会が開催されるも、学長は再度不在。
②会議では、現行スケジュールの拙速さやプロセスの不透明性に対し、現場の教員から批判と懸念の声が噴出。
2026年5月28日(本日):文科省ヒアリング実施と公約不履行の現状
①当局による文科省ヒアリングが実施される。
②4月にWG長が公言していた「5月中旬の学長による説明会」は、5月下旬の本日になっても未開催であり、アナウンスすら一切ない状態が続いている。
【今後のタイムライン:執行部側が描く将来計画と課題】
2028年度
実務家教育および5年一貫制の開始を画策。
2030年度
大学院修士定員を148名から267名へ、博士定員を40名から60名へ増員。その一方で、学部収容定員は1割削減(760名から684名へ)を計画。
組合の視点
学部定員を削減して大学院定員を倍増させるという極めてドラスチックな計画でありながら、教職員への十分な説明や学内合意形成がないまま、文科省への手続き(強剪定)ばかりが先行している現状がある。だからこそ、今、丁寧な説明と議論が不可欠である。
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(エッセイ) 強剪定 菊池直子(非常勤職員)
夏が毎年暑くなっていく。今年はそれに加えて、キャンパスに木陰を提供していた並木道が軒並み切られてしまった。植栽に手入れはつきものなので、枝を払うことに異存はないが、あれほど見事に枝を張り、お互いが重なり合うギリギリのラインで木陰を作っていたケヤキやポプラが、どの木も同じ高さに切りそろえられ、葉がつく枝は二本程度に絞られ、まるで棒きれのようなあんな姿になると気の毒に思える。あの姿は美からも遠い。
本来なら、庭木は「手間をかけて育てる」ものだが、今の日本だと「金がない、人手がない」は、いっぱしの理由となる。だから、あのケヤキやポプラがあのような形に切られるのもある意味仕方はないと思ってはいる。(それにしても、ケヤキは手をかければ次の150年でさぞ立派な並木道となっただろうに)
ケヤキもポプラも木材として優秀である。あの並木道の伐採された枝が、木材となったのか廃棄物となったのかはよくわからないが、教材・資材となり、ただ燃やされるだけの運命でなかったことを願いたい。
それにしても、夏の木陰がないのは困る。多磨駅から大学へ向かう際には、タフモニュを過ぎれば木陰があるぞと思い、実際足を踏み入れればホッとしたものだった。あのピンクのタフモニュから内側が大学であることを感じさせていた並木道。日傘を閉じる姿もちらほら見られた。今にして思えば、木陰沿いにこのまま円廊までいける、そう思える貴重なインフラだった。木陰のありがたさが身に染みる。
昨今、大学に対する「改革」圧力が強い。外語大にもそれは押し寄せてきていて、教員も職員も、おそらく学生や院生も、「時代に合わせて変わること」そのものに反対しているものは、実は少ない。誰もが肌で「変わらないと生き残れない」ことは感じている。
しかし、大学組織を「剪定」するならば、ケヤキ以上に気を配る繊細さが必要なのは、一目瞭然だ。しかも「強剪定」となれば、なおさらだ。どの枝を払い、どの枝を残すのか。並木を同じ高さにそろえることが、果たして「正解」なのか。強剪定に耐えられない木は放置し枯れてしまえばいいとするのか。枯れた後に根を取り出し更地にし、そこに新しい苗を植えれば事足りるのか。枝が2本しか残っていない木に「実務家教育」という「宿り木」を新たに接ぐことが、果たして延命策になるのかどうか。残った枝から芽が出ないまま宿り木と共倒れになりはしないか。
幹だけでは木は生き延びられない。枝がありすぎても木は倒れる。枝払いは必要だ。大学にはそれぞれの専門家がいる。専門家の意見を集約し、「この木」に適した剪定をすれば良い。それだけのことが、なぜ今、これほど難しいのか。