2024/12/18

組合ニュース-2024.12.18刊(2024年度第4号)

〈総括〉学長選挙を振り返って

制度の問題――対話が難しかった学長選挙
 2024年度10月に行われた学長選において一番問題だと思われたのは、候補者指名・意思表明書公表の遅れ、ならびに左記公示日から意向調査日までの期間、つまり「選挙期間」が短すぎたことである。そのため、意思表明書の内容を学内の人々が熟読した上で候補者とじっくり議論する時間がほとんどとれなかった。複数の候補者が立つ意向投票であれば、複数の意思表明書を比較吟味し、投票に臨むこともできようが、立候補者が1名であった場合、それもできない。であれば、その立候補者の意思や構想についてより広く深く理解を得るための対話や議論が通常のケースよりも念入りに行われなければならないだろう。一義的に、大学は自治を有する機関であり、その長に対しては全構成員が信任を与えることではじめて運営される。意向調査は信任投票をも意味するのであるから、信任されるためには、投票権の有無にかかわらず、大学全構成員との意思疎通を図る多くの機会が必要である。それにも関わらず、今回の選挙では候補者がようやく10月4日に明示され、10月第3週に矢継ぎ早に、全体(対面)、各学部・AA研(Zoom)としかも短時間の所信表明演説会や討論会が開催された。そこでは、意志表明書への厳しく鋭い質問とそれへの回答に終始してしまい、実りある議論は展開されなかった。残念なことに、対話・議論を重ねることで相互理解と信頼関係を築ける可能性を最初から排除してしまうものとなってしまった。

 これに対して、本組合が主催した「学長立候補者と語る会」(『組合ニュース』No.2-3 参照)には、大学・学部側で準備した討論会とは異なって、常勤・非常勤職員、院生や学生からも予め質問を出してもらい、それらを候補者んび提示し、回答を準備する時間的余裕をもたせた。組合側が用意した質問に対する丁寧な回答があり、またその後の懇談を通じて、学長候補者との対話の糸口がつかめた感触があった。

今後外語大が存続するためには――現場との対話でボトムアップ
 この体験を経て思ったのは、文系小規模大学である本学が「生き残る」ためには、学長を始めとする大学執行部と大学全構成員との間の対話を常に行う必要があるということである。そうすることで、学部生・院生・非常勤職員も含めた現場の意見をボトムアップして大学行政に活かし、その成果を全構成員に戻す。いわば、大学自治を取り戻すことが求められているのである。「語る会」では学部生・院生の意見が多く出された。なぜなら、彼らが普段直面している問題や要求を大学に訴え、構想などを語る場が制度上ないからである。それは非常勤職員も同じである。そういった場、つまり学生自治会、院生自治会、非常勤職員会等々といった組織をまず作り、各構成員が大学運営に参加する回路を開く必要があるだろう。同じ趣旨から大学構成員として学生や非常勤職員も学長に対する意向投票時の投票権を有するべきである。

法人化を経て「誰の場所でもなくなった」大学――「そして誰もいなくなる」前に
 当然のこととして各教授会も自治を取り戻す。「自治」を行う際に重要なのは、各構成員が「自分ごと」として大学の諸事万端に関与する意思と主体性を持てるかどうかということである。法人化して20年が過ぎたが、その新自由主義的大改革は、ある意味では1970年代以降自ら改革できなかった大学への外部からの改革要求・介入であり、大学が「他人ごと」になってしまった大学人への痛烈な批判でもあったことを思い起こす必要がある。同時に、法人化がどういう情況を生み出したのかをも改めて見直すべきである。少なくとも現在、大学において求められているのが、院生・学生ばかりか教職員・非常勤職員が共に過ごせ、コミュニケーションできる場、自分の居場所、「共属感」が作られる場である。別言すればそれが20年間で失われたものなのである。教員と学生、教員同士、教職員・非常勤職員が相互にコミュニケートすることで得られる教育・研究の成果は計り知れない。それを今こそ取り返すべき時である。先見の明のない押しつけられた計画、構成員を疲弊させるばかりの改革プランとその実践から、やる気に満ちた新たな教育・研究に対する構想を有し、主体的に実践する大学へ。あらゆるものを経済的側面から見て人間の意思を規制し、効率化・合理化を果たそうとする新自由主義的思想・実践はもう旧い。むしろ、個々人の意思に基づく選択と自由を尊重することで「人」を発展させる本来の自由主義思想とそれを実現するための民主的制度の一つとして大学を考え直してみるべきではないか。
(文責 古川高子)


12月24日最終日に思う――特別休暇扱いもなく?
 私は時給労働者である。ゆえにこの年末は非常に腹が立つとともに頭を抱えている。第一に、勤務日を減らされると給料が減る。第二に、勤務日が減ると作業時間が減る。「論集」と「大学院論集」の校正編集という職務上、現在が一番忙しく、毎日超過勤務をしても追いつかないほどだ。それなのに、今年は、年内最後の勤務日が12/24㈫となった。授業最終日と同日である。誰が決めたかは知らないが、大学は授業をやっているだけではない。職員には授業最終日が終わってからもやらねばならぬ仕事がいくつもある。まさか、休日が増えたからいいでしょ?くらいの軽さで決めたのではあるまいな。
 しかも年初1/6㈪は授業開始日でもある。大学は、職員のことを何だと思っているんだろうか。機械と同じように、使わない間はスイッチを切って、使うときにスイッチを入れれば、すぐに動き出すとでも思っているのだろうか?少なくとも、非常勤職員に対して休業補償位はせよ、と言いたい。
 悪しき前例とならないように、今後は有給取得日とするように改善を望む。
(菊池)


組合ランチ、12月19日㈭昼休み開催@海外事情研究所(講義棟427)
 学長選挙を振り返る、という名目で11月7日㈭に組合ランチを海外事情研究所で開き、12名の参加がありました。「なかなか同僚と話す機会がないので、このようなランチ会があるとありがたい」という声が複数あり、組合としては毎月中旬あたりに一度、ランチ会を開催することにしました。12月は19日です。ニュース配付日の次の日となり、行き届かない中ですみません。次回開催は余裕を持ってのお知らせとしますので、時間があればご参加ください。持ち寄りランチ会となりますが、ぜひ、情報交換/おしゃべりをしに、いらしてください。

※皆さんも何か質問や意見があれば、どうぞ組合メールにお寄せください。