<報告>学長立候補者 春名展生さんと語る会
参加者27名(2024年10月16日(水)17:45~19:30)
先日行われた会について報告します。参加者は27名で、当初1時間の予定が1時間45分となってしまいました。改めてお付き合いいただいた春名候補者に謝意を表します。参加した学生院生からは質問や意見が多く寄せられ、候補者からはその都度返答がありました。こうした候補者の「意見を聞く態度」は評価したいと考えます。あとは、そうした意見をどの程度、今後の外語大のかじ取りに反映していくか、です。学務である会議を実りある議論の場とし、教務である講義や研究に余裕を持って対応できるような大学とすべく、組合は今後も意見を提案していく予定です。
皆さんも何か質問や意見があれば、どうぞ組合メールにお寄せください。
<開講科目数が「多すぎる」問題>
〇教員が研究時間を確保できないほど忙殺されている状況をどのように改善できるか?
(春名)開講科目数を減らすことで、研究時間が確保でき、論文執筆などにもつながると考える。
科目数の多さは、学生が選択する際の負担になっていると考えているので、削減はしていきたい。
※関連質問 開講数は多いが、自由度が少ない(学部の壁を越えて履修できない)問題について
(春名)改善すべき問題だとは認識している。すぐにはできないだろうが、取り組みたい。
<財政難からくる人件費が低い問題>
〇外国人教員について、円安や給与削減による給与問題で、人材獲得が困難になることへの対策は?
〇非常勤職員の賃金が低く、求人募集に人が集まらないことへの対策は? 例えば、募集する人材レベルに対して賃金が低いこと(時給1200円の人にTOEIC700点以上を望むなど)をどう考えるか?
〇学生バイトの謝金がほぼ最低賃金レベルであるので、改善を検討しないか?
(春名)できることなら改善したいが、予算がないので不可能。
(春名)人事院の勧告に従って、正規教職員の給与や事務補佐などの時給はあげている。
※関連質問 特定教員・特定外国語教員など、人事院の勧告と関係ない役職の場合、給与が上がらない問題があるが?
(春名)今すぐ答えられる知識がないので、後で検討したい。
※関連質問 国大協を通じて文科省への申し入れなどは、考えていないのか。
(春名)申し入れは繰り返し行っているが、実現は難しい。短期的な達成は無理なので、「社会との連携」を通じて外語大の存在を認識してもらい寄付につなげ、財源としたい。現在の対予算運営交付金50%の依存の状態を少しでも減らしていきたい。
(春名)多少賃金が低くとも、魅力ある職場として働いてもらえる大学にしたい。
<教員の学務の多さ問題>
〇大学業務の割り振り等が、立場の高低を通じて個人指名の形となっている現状を把握しているのか?
(春名)私も実感している。これまで「予算がとれるプロジェクト」にできる限り手を挙げ、予算を獲得してきた。プロジェクトのたびにWGをたちあげ、その構成員には若手教員が割り振られ、一人当たりの学務(会議)の数が尋常ではなかった。今後は獲得すべきプロジェクトを精査する。
<職員が多忙である問題>
〇職員の多忙さへの改善策は? 特に、特定の個々人に業務が集中している現状の改善について。メンタル+フィジカルな面でフォローすることは可能か?
(春名)まずは全体的な業務の削減を行いたい。電子化を進めることで業務は削減できると考える。
(春名)スキルアップのための研修は開いていきたい。
(春名)現在はメンター制度というものがあるので、そちらがうまく機能するようにしていきたい。
※関連意見
一つの職場が派遣など職位の違う人たちで構成されている。立場の違いはすなわち賃金の違いなので、賃金の低い立場からすると、同じような業務でなぜ、というメンタル的圧迫感がある。
<マイナンバーカード>
〇マイナンバーカードを学生証や職員証のように使うのかどうか?
(春名)使う予定は全くない。
<学費問題>
〇本学における学費の値上げについてはどのように考えるか?
(春名)学費を上げるつもりはない。ただし、文科省が値上げをする場合、拒否はしないだろう。
※関連質問 大学院についてはどうか?
(春名)大学院後期で、3年分の学費で5年在籍できるような制度が可能であれば導入したい。
<学生院生との交流について>
〇現学長は学生・院生との交流を重視しているが、これを引き継ぐ意思はあるか?
(春名)より積極的な形で、引き継いでいきたい。
<コロナ以降、図書館が20時閉館のままである問題>
〇院生研究室や図書館等の利用時間の延長を希望する院生(特に留学生)が多いが、院生の研究環境の整備・改善について、どのように考えているか?
(春名)図書館については、9月(会では8月と発言したが、訂正)の1日平均利用者が13人、3月が8人であったことから、延長することは難しいと思っている。10月に学生への希望調査が行われるので、それを見て待ちたい。
※関連意見 その時期は学生が留学している時期なので、その数字を根拠にされても困る。
※関連意見 コロナ以前に戻す(22時閉館)つもりがないのは問題。22時まで開いてる場合の自身の 研究時間の割り振りと、20時で閉まる場合の時間の割り振りでは全く異なってくるからだ。最低でも1年間は22時閉館を実施してから「図書館の延長はできない」というべき。
<コロナ以降、院生研究室が20時に閉まることを含め院生の研究環境の問題>
〇院生室をせめてコロナ以前の22時まで開室に戻してほしい。
(春名)院生研究室開室時間の延長については考えていきたい。調査をして改善していきたい。
〇院生室に各人の机がないなど、研究環境が整っていないことについて
(春名)改善は考えたい。
※関連質問
アカデミア以外のキャリアとしてMIRAI基金をもらえることになったが、奨学金ではないので所得税がかかり、手元に残るお金だけで東京で生活するのはきつい。社会との連携活動に対する対価がないため、その代わりにバイトをしたり、研究に打ち込める時間に回した方がよいのではないかと思ってしまう。収入が少ないため、家賃を支払えなくなって、自宅通学となるので、大学からの距離が遠くなる上、院生専用の研究スペースもないため、大学まで来るインセンティブに欠けている日々である。大学での交流の場を(物理的に)設けてほしい。
(春名)貴重な意見だと思う。今すぐの改善策はないが、考えさせてもらいたいと思う。
<学生からの質問 国際化や外語大らしさを出すためにしてほしい3つのこと>
1 人口芝生の運動場を有効に使い、運動会/体育祭を開催しては? (ボート大会の代わりに)
2 学長選挙に学生も参加できるようにすべきでは?学生組合を作りたいのだが。
3 カフェの誘致
(春名)
1 開催するのは面白いかもしれない。
2 学長選考に学生が入ることは大事である。学生自治会の組織化についても重要だと思う。実際に学長選挙制度をどうやって変えていくべきかは今はわからないが、可能であれば取り組みたい。
3 学生数が少ないため業者にうまみがなく、誘致ができないのが現状である。
※関連意見 学生の細かい希望の聞き取りをやってほしい。
<学生からの質問 国際交流会館に日本人学生の入居が事前告知がないまま制限された問題>
〇寮は留学生と日本人学生相互の交流の場であり、教育の場であるので重要ではないか?
(春名)交換留学生の数が増大したため制限せざるをえなかった。私としては、正規留学生に寮を提供したい。寮が国際交流の場であることは十分に理解しているが、物理的に部屋数が不足しているので、近隣大学とともに、共同利用できる寮を建設できるよう要求していければと考えている。日本人学生が入居するのはここ数年は難しい。2026年度からは少し改善されるかもしれない。
<職員からの質問 アドミニストレーションに特化した学長について>
〇大学法人が補佐する理事3名については予算が付くが、本学独自の制度として副学長を自腹で4人任命している。4人は多いと思うが?
(春名)今後は減らしてもよいだろうが、役割分担しながら次世代の指導部を育成するという意味がある。
〇大学の経営者たる学長が授業を持つのは、教授会に服することになるゆえ、矛盾しないか。授業は受け持ってほしくないのだが?
(春名)私自身は、授業を受け持つことは続けていきたいと考えている。その調整は考えていく。
<学生からの質問 外語祭の語劇練習のための教室予約が蔑ろにされている問題>
(春名)予約システムを一本化すれば、起こらないのではないかと思う。
<院生からの質問 専門職のためのカリキュラムがない問題>
〇学部のカリキュラムに現在は通訳コース(専門職を目指すカリキュラム)がなく、過去にあっても英語だけだった。外語大として、恥ずかしいのでは?
(春名)それは全くその通りなので、そういう職業的カリキュラムはとりいれていきたい。
<投稿意見> この数日間、春名氏の「意志表明」をめぐって、大学の将来について、国際日本学部を中心にした日本語教育・留学生受け入れを今後の改革の柱にするとどうなるか、その是非を論じることができた。それは春名氏に対しても感謝したいが、その改革構想は国際社会学部や言語文化学部、AA研をまきこんだものにならないことがわかった。それは現行の三学部体制の是非を論じる事でもあっただろう。本学のリソースを生かした、可能かつ必要な教学プランの対案は、アジア・アフリカ研究を中心にした学部・大学院改革の構想ではないだろうか。日本語教育・留学生受け入れもその構想のなかに位置付け直してはどうだろうか。これからの4年間、そうした方向性での議論がまったくできなくなるかもしれない――いまこそ議論すべきだと思う。(友常勉・前組合委員長代理)