2026/05/14

組合ニュース-2026.5.14刊(2025年度第6号)

※2026年7月10日削除

組合員リレーコラム(6)
組合と私   匿名希望(事務職員)

 先日、組合ニュースの中川裕先生の寄稿を拝読し、深い懐かしさを覚えました。私が東京外国語大学に事務職員として採用されたのは1989年(平成元年)。昭和から平成へと元号が変わり、新たに消費税制度が導入されるなど社会全体が激動の予感に包まれていた年でした。
当時は、2000年の府中移転や2004年の法人化を控えた旧西ヶ原キャンパスの時代です。大学はどこか牧歌的でありながら、濃密な人間関係が至るところに息づいていました。寄稿された中川先生や岩崎稔先生とは採用時期が近く、若手教員と事務職員として、廊下や食堂で言葉を交わす機会が多かったと記憶しています。
 採用2年目から5年間在籍したAA研の事務室は、今振り返れば驚くほど重厚な体制でした。事務長及び事務長補佐以下6つの係が組織され、常勤職員だけで25名ほどが在籍。研究所という専門組織を支えるため、それだけの陣容が必要とされていたのでしょう。
 何より特徴的だったのは、所員(教員)と事務職員の「距離の近さ」です。現在は両者の間では分業が進み対話が限定的になりがちですが、当時は双方が日常的に顔を合わせ、運営について立場を超えた意見交換を行っていました。根底には「AA研という船をともに動かしている」というある種の自負のようなものが共有されていたと思います。
 もちろん、今と比べて、すべてが良かったわけではありません。今なら当然のITインフラも未発達で、連絡手段は電話や対面、手書きのメモが中心。制度面でも、例えば、超過勤務手当が各課室の予算枠に縛られ、働いても手当がつかない「天井」が存在するなど、現代の基準では考えられない不合理や、他部署のベテラン職員から、仕事の作法や立ち居振る舞いについて理不尽と思えるような「ご指導」を受けることも多々ありました。
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 移転を控えていた旧西ヶ原キャンパスの設備環境も、今では信じられないほど過酷なものでした。教室にクーラーはありませんでした。夏は、7月の第2週でいったん授業を終えて、残りの2週間は、9月3週目から再開と記憶しております。クーラーなしでの7月の第3週以降の授業はできませんでした。私が勤務していた4号館1階(学生課・教務課)と2階(庶務・会計・施設課)の間では、契約電力の制限から、冷房を30分ごとに交互に稼働させるという運用が行われていました。一部の事務職員の間では、「人体実験」と呼ばれていました。
そんな私が組合に加入したのは、そんなAA研時代の初期でした。強い思想があったわけではなく、AA研事務室内の周囲の先輩方が自然に関わっている姿を見て、大きな抵抗もなく加入したというのが実情です。
 当時は事務職員への体系的な研修制度が今ほど整っていませんでしたし、交流人事なども管理職を除いてはなかったに等しい時代でした。しかし、私は組合員以外でも大学生協の事務職員理事といった学内外の役割を担う中で、私の意識は変化していきました。活動を通じて多くの学内外の教職員と交流を深める中で、一つの確信を得るに至りました。それは、「事務職員は単なる補助者ではなく、教員と共に大学運営を支える不可欠な主体(パートナー)である」という認識です。この自覚は、その後のキャリアを支える大きな柱となりました。
中川先生との思い出で言えば、土曜日にも授業があった頃、音声学の講義を聴講させていただきました。専門知識を持たずに採用された私にとって、授業聴講やAA研の共同研究プロジェクトの一端に触れた経験は、本学が教育研究で何を大事にしているのかを理解する貴重な機会でした。

 しかし、2004年の法人化を境に、大学の風景は変容しました。効率化のもとに業務が進む一方で、教員と事務職員の心理的距離は広がり始めたように感じます。互いの専門化が進んだ結果、互いの仕事の背景が見えにくくなり、まるで「それぞれの持ち場を守る」という意識に変容してきたようにも思えました。
 さらに、新型コロナ禍によるオンライン業務の定着が、この傾向に拍車をかけました。効率は向上したものの、廊下での立ち話や雑談といった、関係性を潤滑にする「余白」が失われました。画面越しでは伝わらない温度感や、偶発的な対話から生まれる信頼。それらが損なわれることで、大学というコミュニティは個々の「島」へと分断されてしまったのではないでしょうか。
 こうした時代だからこそ、私は今、改めて「場」の重要性を痛感しています。それは特定の権益を守るためだけのものではなく、個々が抱く違和感や課題意識を、再び同じテーブルに載せるための場です。
「この東京外国語大学を、どのような場にしていきたいのか」
 この問いを、職位や立場を超えて率直に話し合える場所。それこそが、今の大学に最も求められているものの一つであり、その役割を担える可能性が組合にあると信じています。
以前は当たり前に持っていた「大学を支える一員」という感覚を、現代の形に即して再構築していくこと。これを組合に期待したいと思います。
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組合ランチのお知らせ
5月27日(水)11:45~13:00@海外事情研究所(講義棟427)

 4/22(水)、今年は晴れやかな天気に恵まれ、ピクニックのような「拡大野外ランチ」には、22名の参加がありました。教員、非常勤職員の組合員のほか、新任者や労働者としての院生も参加し、それぞれが短い間でしたが交流し、バドミントンを楽しむ人もおりました。5月14日現在3名の新規加入がありました。学内で立ち止まって意見が交わせる場として、組合を活用してください。
 今月は海外事情研究所でランチ会を行います。
(毎月最終水曜日に組合ランチ会開催予定)
 新年度が始まって気づいたことなどあれば、教えてください。
 お弁当や飲み物は持参してください。