組合ニュース 2019年度第2号 (2020年6月24日)
第58回 定期総会
7月15日18時 より
オンライン にて (Zoom情報等詳細は別途連絡)
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2020/TUFS Covid-19下をどう過ごしているか?
執行委員に聞く(1)
「みなさま、ご無沙汰しています。春学期は当初、大学に行かなくて楽だなぁ、と思っていたのですが、zoomに慣れるのにいっぱいです。学生とのやり取りは、すべてメールなので、四苦八苦です。月曜1限のリレー講義の世話役が当たって、毎週月曜は朝イチで起きないといけない、出席確認テストと授業終わりの小テストのmoodle設定、つぎの担当者への連絡、繋がらない学生への対応、出席・成績管理などなど、なんの因果で最後の年にこんな目に合うとは! しかしゼンソクのわたしは毎年のインフルエンザさえも致命的なので、zoom授業はうれしいですが、同僚のみなさんにいろいろと助けていただいて、なんとかやっています。」(小川)
「アジア・アフリカ言語文化研究所は、基本的に所員は皆在宅ワーク。会議系もZoomとなりました。教育業務の負担が少ないのでコロナ禍の影響が少ない部署ですが、夏以降のフィールドワークの見通しが立たず、今後の調査研究に大きな支障が出そうです。2階事務室は人員を減らしながらも職員の方が居てくれるので助かってます。」(荒川)
「Covid-19の流行とその拡大防止のための政策は、私的生活への幽閉を促進した。この傾向は「社会はない」とみなす政府および諸家族から構成される「新」自由主義社会促進政策と国民国家おける管理・監視強化政策が一対のものであることを証明した。国民に対する管理は、個人主義が強い西欧諸国でより強化された形で施行されているのであり、「お上」に従順な日本において「民度が高い」と述べるのは全くの誤解。新自由主義化が不足だとの証拠となってしまう。」(古川)
「危機は5月でした。幼稚園が休園で、工作好きの長男はアマプラ漬け。次男はまだ授乳中。世間の自粛キャンペーンが家庭内にも押し寄せてきて、パートナーは鬱再発。それでもパートナーが仕事を辞めているので私の在宅ワークも可能でした。彼女の実家の両親も心配していましたが、当然ながら東京には来られない。いまでもどうやって乗り切ったか覚えていません。」(T)
「唐突な「非常事態宣言」で外語大初の事務職自宅勤務が「なし崩しに」始まった。私の場合、往復3時間の通勤から解放され時間的な余裕を手にしたが、こたつ机にノートPCという物理的な苦行の場へ。今後も「6~8割程度を自宅勤務に」は継続してほしいが、自宅=職場となる際の環境面については、補助や支援を求めたい。」(菊池)
Covid-19下の大学と社会
千政煥氏に聞く< オンライン インタビュー >
千政煥(CHEON Jung-hwan、チョン・ジョンファン) 成均館大学校国語国文学科教授。韓国現代文化史と文学史研究。『歴史批評』『文化/科学』編集委員。人文学協同組合、民主平等社会のための全国教授研究者協議会、知識共有連帯などを通じて学術運動にも参加している。
韓国の大学はほかの教育機関よりも早く全面非対面化のオンライン教育を決めました。2月末からコロナの流行が問題になりましたが、十分な準備ができないままオンライン教育がはじまってしまったという感じです。そしていま6月に学期の終わりを迎えています。準備ができていなかったのは、大学のサーバーとソフトウェアです。さらに教員や非常勤講師も不慣れでした。ただ4ヶ月経って、それらの問題は解決に向かっています。ただし学生側にはオンライン授業に対する不満があります。それは教育の質にかかわり、授業料返還運動となってあらわれています。
学生の要求は当然です。大学が学生に提供するのは授業だけではありません。それ以外に図書館や学生生活のためのサービスの提供があります。もちろん政府が大変な状況にあるのはわかります。しかしあいまいな態度をとっているのは問題です。ちょうど昨日(6月17日)、ある大学が、秋の授業料を減免すると発表しました。すべての授業料を返還するのは大変なので。また大学には内部の不平等や賃金差別があり、財政問題もあります。ですから一律に同じ政策をとるのは難しいです。しかし授業料返還の要求にこたえることは当然であると思っています。
オンライン授業になったため、大学間格差や正規と非正規のあいだの格差が肌で感じられるようになりました。私は二つの授業をライブでおこなっていて問題ないのですが、非正規の教員で、録画で提供しなければならない方がいます。大学から特別の手当も出ないにもかかわらず、複数の大学の授業をかけもちしなければならず、本当に生き地獄になりました。ですからこれまで隠れていた大学内の不平等がより切実に明らかになったのではないかと思います。
ただし学生にとってはどうなのか。学生には大学から支援としてPCやウェブカメラなどの機材が貸与されたり、授業料が減額されたり、履修できる単位が増えたりするなどの工夫がありました。さらに録画されたオンデマンドの授業によって時間の余裕ができるようになりました。初期は学生たちは混乱していましたが、期末テストもオンラインになるなど、よい方向に作用しています。教員にとってはオンライン試験だと不正行為を防止できるかどうか不安なので、教育と学生のあいだの葛藤も生じています。
それぞれはもちろん集団的に行動しています。学生組織では、ひとつが全国大学生ネットワークです。もうひとつは総学生会です。総学生会を中心に動いていますね。昨日はコロナマックスというのがあり、各地から教育府に向かって行進していくという学生の運動がありました。以前の規模ほどの力はないですが。
もうひとつはオンライン授業の拡大に抵抗しているのは、韓国非正規職教授労働組合です。オンライン授業の拡大は大学内の雇用を不安定にする、しかし大学の支援がない。それに対する動きがあります。
韓国におけるコロナ危機のなかで、人文学がどう動いたのかということからいえば、言説の全体を主導したとはいえません。まず、韓国国内でパンデミックが明らかになったとき、政権がどう対応していくのか、それは正しいのか間違っているのかを質していくというのが全体の流れでした。4月に行われた総選挙で、与党が圧勝したということが、ひとつの評価です。どういう社会システムがこの状況で働いたか、ほかの国と比較する点で社会学者が関与していきました。そして韓国政権に対して、いまのところうまくやっているという評価を下したわけです。つまり、どのような社会システムが、どのように作用したのかについて、言説を主導したのが人文学とりわけ社会学の役割でした。
次は経済・社会・政治における対応についての問題になります。コロナ状況教授研究者連帯会議というのをつくり、非正規教員、労働組合、学生、民主教職員協議会などの多様な団体が入り、連続討論会を行いました。労働、人権問題、民主主義のための多様な言説をどのようにつくり、どのように闘っていくのかと。第一次ワークショップが労働(4月)、第二次が教育学術(5月)、第三次が福祉(5月)、第四次が人権民主主義(5月)です。
80年代・90年代は知識人が運動の中心になっていました。今は非正規の教員たち、現状況に敏感な反応を示している若手の研究者たちが中心で、世代の感覚の差異があります。民主主義に対する感覚の差異など、世代間の緊張はいつも存在しています。そうした差異をどのように社会的な運動としていくかが問題なのです。とはいえ現政権はリベラルであるため、この政権に期待をかけている。期待感があるから抵抗し、交渉しているのだと思います。現状からいえば、保健当局が防疫に対する決定権を持ちます。あとは企画財政部。その二つの軸と青瓦台の三つが有機的に動いている。それが政権として透明化されている。それが国民の信頼を得ている理由ではないかと思います。
(とりまとめ:T)