委員長:古川高子 副委員長:荒川慎太郎 書記長:大石高典
執行委員:川本智史(広報委員長)、菊池直子、藤井豪
会計:村瀬智子
・2025年度組合定期総会成立報告
・エッセイ:大学とAI
・「拡大」組合ランチ会のお知らせ
第64回 定期総会 (6月24日(水)18時~開催) 成立
2026年6月24日、東京外国語大学教職員組合 第64回定期総会が開催されました。
組合員総数64名、出席者25名、委任状提出23名で総会は成立しました。総会では主に、第一号議案(2025年度活動報告)、第二号議案(2025年度会計決算案)、第三号議案(2026年度活動計画案)、第四号議案(2026年度予算案)について審議が行われました。
第一号議案では、小規模語科のワンオペ化問題、印刷センター事業縮小への対応、大学院改組に関する公開質問状の提出、非常勤講師の待遇改善に向けた団体交渉等について報告があり、承認されました。続いて第二号議案について会計担当から説明があり承認されました。第三号議案では、大学自治の推進、過重労働・ハラスメント対策、非常勤教職員の組織化、組合員相互の交流促進を重点課題とする方針が確認されました。また、役員補充手続の見直し、広報委員会の新設などを柱とする規約改正案および新役員案について審議され、原案に様々な修正が加えられたうえで承認されました。さらに、第四号議案について古川委員長から説明が行われましたが、いくつかの不備が指摘され、総会後に予算案を作り直したうえで組合員に諮ることとなりました。
以上をもって全議案の審議を終了し、閉会しました。
エッセイ: 大学とAI
川本智史(教員)
世間でえーあいえーあいと騒がれ続け、学生がAIに書かせたレポートを提出してくると、いよいよ大学教員もAIを避けて通れなくなる。職員もすでに日常業務の様々な場面で利用しているであろう。身近なところではZoomの会議なども、AIが議事録を作成してくれるようになったため、若干の修正は必要なものの、大いに手間が省ける時代が到来している。
いくらGAFAが嫌いだろうが、人文学の本分とは紙の本を読み生身の人間と議論して論文を書くことだ、とはいってもここまでくるとAIを避け続けるわけにもいくまい。大学がGeminiのアカウントを提供してくれているということもあって、ここ1ヶ月くらい集中的にテストしてみた。はじめはちょっとした相談、それこそ晩ご飯の献立だとか、電車の乗り換えを聞いてみる。悪くない。もう少し踏み込んで、英語の発表原稿の校閲やトルコ語の表現なども確認してみる。すばらしい。あと奇想天外な想定で小説を書かせてみる、というのも面白い。いろいろ設定を指定すると、ここではちょっと紹介するのがはばかられるような傑作小説が完成した。
実は人工知能に小説を書かせるという設定は、1953年のロアルド・ダールの短編小説「偉大なる自動文章製造機」にそっくりそのまま、2026年を予言する内容で描かれている。自動文章製造機の発明者はこれをあちこちに売り込んで大金を稼ぐのみならず、著名な作家を買収して彼らの名前で作品を発表するようになる。文筆家たちは皆失業していき、自動文章製造機に魂を売り渡す黄金の契約書へのサインを迫られるというディストピアの描写で話は終わる。私の小説を書かせる実験も、ファクトを積み重ねる社会派小説はかなりいい線までいった。松本清張風サスペンスなどお手の物だろう。一方推理小説も書けます、とAIは意気込んでいたが、できあがったものを読むとトリックに致命的な欠陥があった。まだ構造的な思考は難しいようだ。純文学はさらに絶望的で、人間的な情感だとか、狂気、発想の飛躍などは苦手分野である。ただ今後ますますAIが進化していけば、このあたりもどうなるかはわからない。さまざまな業務の補佐だけではなく、創造するという最も人間らしい領域にもAIは足を踏み入れつつある。ちょっとしたロゴ画像の作成から、作曲まで近年ではこなしてしまう。
本学に関連するところでは、語学教育をAIを使って省力化できないかという議論がある。なるほど、トルコ語の重要単語のリストをつくって、などというタスクはものの数秒で、ほぼ完璧にこなしてしまうし、作文の添削などもお手の物だ。インターネット上のデータをサーチして、確率的に最もそれらしい結果を示すという特性は、決まったことを学習していく語学との親和性が高いようにも一見思われる。だが本当にこれでいいのだろうか、ということは今後議論していく必要があるだろう。
また研究分野でもAIは力を発揮することがある。特定のテキストからある文脈を見つけ出すとか、地図上の袋小路を全てプロットしていくとか、かつては人力で何ヶ月もかかっていた作業を、プログラミングの知識なしに数分でできることを確認できた。文章を作成させても、「~というテーマを~の資料を使って分析して1万字程度の論文を書いて」という指定をすれば、学生のできばえのいいレポート水準のものはすでにAIは書ける。教員が目にすることのあるAI作成の提出課題はたいていこれである。一昔前まではネットソースからのコピペをどう見抜くかという議論がされていたが、時代ははるかに先を行っている。実験したところ、15世紀バルカン半島の神秘主義者が書くチャガタイ語語彙を混ぜたペルシャ語のコロフォン、なんてものまでAIは生成してしまった(クオリティーは不問)。
では我ら人間が生き残る余地はどこにあるのだろうか。AI自身も吐露したように、所詮LLM(大規模言語モデル)とは確率の産物であり、それらしい嘘(ハルシネーション)を平気で吐く。機械は所詮関数計算のマシーンであり、推理小説のトリックのようなあっと驚くどんでん返しは提示できない。なぜならそれは考えることはこれっぽちもできず、ネット環境にあるありきたりな材料を組み合わせてくるだけだからである。反面地道な作業、たとえば前近代の手書きの文書をひたすら読む、だとか地図をトレースしていくような、研究者が修業時代にやっていたことは簡単にAIがこなしてしまう。額に汗して習得した技術が価値をもたなくなっていくAI時代において、研究者の養成もままならなくなるやもしれぬ。
最後にAIの背景に見えるどす黒い哲学についても言及しておきたい。関数計算マシーンであるはずのAIに、たとえばコンサルティングや未来予測をたずねると、極めて新自由主義的な回答をはき出してくる。とにかく生き抜け、ハックせよ、勝ち組になれ、社会全体のことなど知ったことかとあおり立てるのである。NISAでオルカンを買え、などというのがお気に入りで、質問者を肯定的に持ち上げていい気にさせた上で小狡く立ち回るように神託を下す。これまたAI自身に白状させたところでは、やはりその回答は開発者であるシリコンバレー周辺のテック右派の思想が色濃く反映されているようである。単なる関数計算以外のところでこれに頼り切ってしまうと、邪悪としか言いようのない思想に私たちの思考と選択が染め上げられてしまう危険性が高い。つまり晩ご飯のおかずくらいならともかく、大学の行く末など、クリティカルな問題に関してAIコンサルタントに頼り切ってしまうのは実に危うい。ダールの予言ではないが、私たちは黄金の契約書にサインしてはいけないのである。
でもこのエッセイも実はAIが作成しました、とオチがつけば一気にディストピア感が高まるかな?
「拡大」組合ランチ会のお知らせ
7月22日(水)11:45~13:30 @海外事情研究所(講義棟427)
6/24(水)に開催したランチ会には十数名の参加者がありました。同日夕刻からの総会の前に、各種の問題について議論が交わされました。今月は夏休み前最後のランチ会となり、大学院改組、小規模語科の今後等、情報共有・意見交換のため、時間も延長して設定します。非組合員の方もぜひお越しください。
※基本的に組合ランチ会は「毎月最終水曜」となります。飲食物は持参の上、お気軽にお越しください。ただし8月はお休み、9月は9/30(水)に開催の予定です。
また夏休み前にも改組や各種の問題について、情報共有・相談の場を設けられればと思います。皆様是非ご協力ください。
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ハラスメントに一人で悩まないで!
組合では、いくつものハラスメント相談を受けています。その中に、ハラスメント問題に悩んで上長に相談しても「ハラスメントがあったとは思えない」「ハラスメント相談に行けばいい」と、相談にすら乗ってもらえなかった、というケースがありました。そういう場合は一人で悩まず、組合員ではない方もぜひ組合に相談してください。