2025/09/17

組合ニュース-2025.9.17刊(2025年度第1号)

第63回 定期総会 (7月9日(水)18時~開催) 成立

2025年7月~2026年6月(2025年度) 執行委員一覧

委員長:古川高子 書記長:大石高典 副委員長:荒川慎太郎
執行委員:藤井豪(情宣文化部)、川本智史、萩原啓一、菊池直子(情宣文化部)

 立秋を過ぎ、まだまだ暑い日々が続きますが、少しばかり秋の気配も感じられるようになってきました。いかがお過ごしでしょうか。
 だいぶ経ってしまいましたが、7月9日の定期総会には大勢の組合員のみなさまにご参加頂きまして、誠にありがとうございました。
 8月末になりますか、総会で頂いたご意見やコメントを加え、議案書の文面を加筆修正し、議事録と併せてみなさまにお送りいたしました。
 総会でご教示いただいた建設的なご意見を執行委員一同の今後の活動に反映させ、役立てていきたいと考えております。ご協力頂きましたこと、重ねて御礼申し上げます。
 秋学期は引き続き、組合ランチを月に一度は設け、組合員の親睦と対話の場を確保するよう努めるとともに、『組合ニュース』を充実させ、大学という職場や実生活で役立つ情報や知識を集めてみなさまにお伝えしていきたいと考えています。
 また、もう少し季節が落ち着いた頃を見計らって、以前に行っていた映画鑑賞会なども開催したいと考えています。希望する映画などありましたら、ご一報くださいませ。
 今後とも組合へのご支援・ご協力をよろしくお願い申し上げます。 (執行委員長 古川高子)


月実施 非常勤職員向け「更新時の実態調査」アンケート報告

◆時給は上がれど、年収は上がらず
 今回調査するきっかけとなったのは、職場によっては、契約更新の際「強制的な無給休日取得」への合意を聞かれていることが明らかになったからである。(例:週3日(月水金)契約であるのに強制的に勤務日に該当する曜日から月に1日程度の無給休日を取らされる)なぜかといえば、「人件費は常勤非常勤問わず人事院勧告に従って上げざるを得ないが、その上昇分を少しでも圧縮したいから」だそうだ。
 非常勤職員は基本的に一年単位で契約を更新する形で雇われている。毎年2月ごろに次年度の契約についての面談があり、契約を切られたくない非常勤職員は自分に不利な条件でも諾とする場合がある。現在外語大では非常勤職員の雇用形態にも「多様化」が進んだようで、以前は雇用といえば週五や週三などの曜日固定雇用だけであったが、現在では年間日数での雇用(繁忙期には週四、閑散期には週一など)や、それとなく個人事業主としての契約を持ち掛けられることもある。今回の「無給休日」についても、非常勤職員への不利な条件変更が示された一例であろう。(契約する際の労使の平等(契約労働法)については裏面参照)

◆人件費上昇分を圧縮するため削られる非常勤職員の給料
 2年前(2023)から突然年末年始の営業縮小に伴う非常勤職員への給与(勤務日)カットが始まった。3年目となる2025年度では12/24~1/4の12日間が休みとなる。授業最終日(今年は12/23)を大学営業最終日と位置付け、事務方もその日が年内最終日となってしまった。本来、年末年始休暇は就業規則にもあるように12/29~1/3の6日間(+土日)を指し、最終授業日から12/28までと1/4から授業開始の1/6頃までには共に2、3日の業務日が設けられていた。大学側はこの年末年始休暇倍増を急いで導入したものの、「削減される5日程度の業務量/内容の精査・整理」を怠っており、事実上、事務方は同じ業務量を短縮された期間でこなすという無理を強いられている。とはいえ、月給支払いの常勤職員は給与が減るわけではないから、なかには、休暇が増えたと前向きにとらえている人もいることだろう。しかし、私たち非常勤職員にとっては、この数日間は大学側から強制的に取らされる「無給の」日々となる。自分たちの有給休暇を充てることさえ許されていないのである。このように私たちは、この4月に100円以上時給が上がったものの、年間で収入が上がらない(どころか減る場合もある)という悲しい現実を生きている。(菊池)

 以下、2月に実施した「非常勤教職員向け:更新時の実態調査」に寄せられた意見を紹介する。

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9.  労働条件や日々の仕事に関して不満・不安を感じることはありますか。
1 常にある(40%) 
2 たまにある(60%)
3 あまりない(0) 
4 まったくない(0)

9に関して、当てはまるものをチェックしてください。(回答率が高い順)
70% 賃金が低い、昇給がない
60% 常勤に比べて軽くみられている
30% 一時金がない、待遇と仕事量・仕事上の責任が釣り合っていない、職場でハラスメントや差別的言動がある、本来しなくてもよいはずの仕事をさせられる
20% 継続雇用の保障がない

10. 意見や要望
(非常勤講師)授業に必要な書籍代や資料代を1万円でもよいので支給してほしい。
(以下、非常勤職員)
・一部の教員には、事務方に仕事を依頼する(やってもらう)というよりも、やって当然、完璧にできて当然という圧力をかけてくることがある。
・他の部署が非常勤職員に対しどのような対応をしているのか知りたい。
・数年前から大学側の意向で、それまで業務委託や非常勤職員に任されていた一部の業務が学生アルバイトに移行された。学生支援の意味合いもあるものと思われるが、その結果、それまで当該業務を行っていたスタッフの解雇が発生し、それに関連して常勤職員の仕事が増える事態にもなっている。人件費削減をうたいながら常勤の残業が増えるのは本末転倒だろう。
・非常勤職員の欠員補充が1年近く行われず、該当業務を他の非常勤職員がカバーしているのはおかしい。
・(組合に対しての要望)個人の問題を解決してもらえるのはありがたいが、制度や仕組みそのものの改善を(大学当局へ)働きかけてほしい。

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組合員リレーコラム(4) 谷川みらい
「経営者視点?」
 会社員や就職活動中の学生には、「経営者視点で物事を考えよ」という要求がしばしば突きつけられる。私が学部新卒として就活をし、とあるIT企業に入社した時もそうであった。企業の業務用ソフトウェアを扱う、いわゆるBtoBの会社である。研修では、仕事とは問題解決である、顧客企業の問題を解決するためにはどうすれば良いか自分の頭で考えよ(そうすれば自ずと商品が売れる)と教えられた。今から約10年前のことだが、会社はAIを活用して業務を効率化するソフトウェアの開発に取り組んでおり、社長は「この商品が普及すれば週休3日社会の実現も夢ではない」という趣旨を従業員の集会で語った。私は、テクノロジーによる業務節減は経営者にとっては望ましいだろうが、本当に個々の従業員のゆとりある働き方につながるのだろうか、一部の従業員は解雇され、残った従業員の労働は強化されるのではないかという疑問をぼんやりと抱きながら社長の話を聞いていた。
 色々あってその後大学院で日本経済史を学ぶようになり、末端の労働者に対して経営者・管理者のような視点に立って仕事に取り組むよう求める風潮は、最近のホワイトカラー労働市場に限ったものではないことを知った。その例としてQCサークル活動が挙げられる。各職場において労働者が「自発」的に少人数のグループをつくり、品質管理(quality control)や生産工程の効率化のためにアイディアを出し合うQCサークルは、1960年代から存在し、1980年代には特に増加した。1980年前後から労使協調の潮流が支配的になり、労働組合の職場規制力は低下した。そのことが労働者の「働きがい」減退を招くことを危惧した経営側が、職場に労働者を改めて「参加」させる方策を求めていたことが、QCサークル増加の背景にあったと西成田豊氏は指摘する(「日本的労使関係の史的展開(下)」『一橋論叢』第114巻6号、1995年)。労働組合が衰退した後の隙間を埋めるように、日本の労働者に「経営者視点」が根付いていったのかもしれない。
 私は学生の頃から、「全体を調整して具体的な問題を解決するためにはどうすべきか」という構えで物事を考えるのが好きであったし、それは今も同じである。職場や社会の日々の運営に参加し、貢献しているという実感は、人生を豊かにしてくれる大切なものだし、仕事の質を高めたり効率化したりするのは多くの場合良いことだ。しかし一方で自戒を込めて思うのは、経営者や為政者の意識と一体化するあまり、「全体のために」という名目で弱者を切り捨てる側に回ってはいけないということだ。私たちは労働者、就活中の学生なら求職者であって、資本主義社会における弱者である(経営者に近い立場の人も、実態として労働者と変わらず、資本主義がもたらす社会構造に人生を翻弄されているならば、個人として連帯できるはずだ)。そして周りを見れば、自分よりもさらに弱い立場の人々がいる。あくまでも弱い立場に属する者の一員として、自分たちを抑圧する社会構造を見つめ、話し合いを通じて互いの状況を理解した上で、全員が尊厳ある人生を送るために声を挙げなければならない。労働組合とはまさにそのような場だと思う。


使用者と労働者は対等の立場(労働契約法の話)
 労働契約法によって、使用者と労働者は対等な立場であることが定められています。更新の際に不利益変更を提示され、それを承諾しないからといって、解雇にはつながりません。困ったことがあれば組合に相談してください。条文は以下の通りです(太字は引用者)。

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第一条(目的) この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。

第三条(労働契約の原則) 
労働契約は、労働者及び使用者が
1 対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。
2 就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
3 仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
労働者及び使用者は、
4 労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。
5 労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない

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組合ランチのお知らせ
9月24日(水) 11:45~13:00  海外事情研究所@講義棟427

 7/23(水)に行ったランチは11名ほどの参加がありました。
 春学期が終わったため、比較的のんびりとしたランチ会でした。当日、非常勤講師の新規組合員が参加して、そこから各自の自己紹介や授業の内容への質問など普段とは違う話題で楽しい時間を過ごしました。また、非常勤職員の参加もあり職場の状況などを共有しました。
 みなさんも、ぜひランチ会に話に来てください。(お弁当や飲み物は各自でご用意ください。)